東京都茶協同組合は様々な活動をしており、随時このウェブサイトでご案内しています。その中のひとつ「抜き買い審査」とは、当組合加盟店を中心に100グラム1,000円の煎茶を購入し、どのような形で販売されているかを調べるものです。
ほかの商品と同じように、お茶を販売する際にはいろいろな法律や条例などを遵守することが求められています。やさしく言うと、お客様に誤解を与える表現や、根拠なしに過大な期待を抱かせてはいけないということです。
抜き買い審査のポイント
ひとつめのポイントは、「食品表示法」「薬事法」「景品表示法」などに抵触していないかです。
例えば、これを飲んだら(食べたら)「ガンが治る」「肌が白くなる」「痩せる」とか、「日本一おいしい」などを根拠なしにうたっていないかを調べます。違反していれば是正をお願いすることになりますが、そのような事例は私が知る限りはありません。ただし、法律が変更になることがあるので、継続して実施していく必要があります。
茶の効能についてですが、茶に含まれるカテキンをはじめ、その他の成分が心と体に良い影響を与えていることが明らかになりつつあります。特にカテキン(=渋み成分)の有効性は素晴らしいものがあることがわかってきています。しかし、一般的にどの食品についても言えることですが、これを摂取したら「ガンにならない」「ガンが治る」「痩せる」「肌が白くなる」などということはないと思います。
茶(中国茶、紅茶を含む)の醍醐味は、滋味(旨みや甘味)と渋みのバランスということになるでしょう。今の日本では、常に誰かにあおられたり、せかされたりしているような気がします。そのときに、自分の気持ちをリセットするため、急須でおいしいお茶を淹れてください。リフレッシュできて、おいしいと感じることが幸せだと思います。これが心にも体にも良い影響を与えると思います。
ふたつめは、産地についてです。産地偽装が世間を騒がせています。「国産」「静岡産」「鹿児島産」などと表示している場合や、さらに限定したエリアを表示している場合は、特に「客観的に証明できるもの(トレーサビリティ)」を用意するようにアドバイスしています。
みっつめは、量目です。正しく計量できているかを調べます。そのほか袋の素材、賞味期限などについてもチェックします。
最後は茶の品質についても調査します。どのような傾向のお茶を販売しているかなどです。
詳しくは、
を参考にしてください。
お茶屋の主張 お茶の味は店ごとに違う
お茶を皆さんが買うとき、金額が一緒ならみんな同じと思っていませんか。実は違うのです。それぞれのお店の嗜好があり、そこのお店の味があるのです。
例えば、私達お茶屋は、異なるお茶の特色を引き出すためにブレンドをします。そこに技量と嗜好が反映されます。仕入れるお茶も、茶問屋に限定した地域を指定したり、火入れの強弱をリクエストしたりしています。
最近は特色の違うお茶を何種類か扱っているお店が多いので、店頭でたずねてみてください。ポイントは「産地」「品種」「蒸し」「火香」になると思います。
当組合加盟店の特長のひとつは、いろいろな産地のお茶を販売している点にあるといえます。もちろん私自身もおすすめというものはありますが、嗜好品ですので、皆さんが楽しみながらおいしいと思うお茶を探していただければと考えています。
お茶を急須で淹れることが楽しみになる日本茶ファンを増やしていきたいと思っています。
(調査部長・深谷智治)