2018年11月23日

半世紀の歴史 東京都優良茶品評会についてのお話

2018年9月18日に東京都優良茶品評会の出品茶入札会が行われました。この記事が出るころには組合員の店で販売されていることと思います。この幟や表示を目印に、お買い求めください。

では、品評会に出されたお茶はどういうもので、どのようにして皆さんのお手元に届くのでしょうか。少し、説明をさせてください。

東京都優良茶品評会の目的と内容

東京都優良茶品評会は48回を迎えます。ということは、約半世紀は実施していることになります。

会として優良なお茶をつくった茶商社に対して褒賞をします。トップは農林水産大臣賞になります。その他東京都からも都知事賞が与えられますし、公的な茶関連団体からも賞が与えられます。ですので、多くの茶商社は賞を目指して良品を出品してきます。

審査方法は農研機構の研究監が審査長となり、東京都、茶関連団体と私たち組合員の代表者が審査をして順位付けをします。

茶商社にとっては賞を目指すのはもちろんですがそれだけではありません。地域も静岡は全地域、宇治、三重、八女、熊本、鹿児島、宮崎など多彩です。ですので、出品商社にとってはどういうタイプのお茶の評価が良いのかを確かめる意味合いもあると思います。

また、褒章式を行いますので、その時にも情報交換をしています。組合員にとっても、農研機構がどのような茶の研究をしているのか、茶商社がどんなことを考えているのかを知る機会となり、講習会や勉強会を実施することも珍しくありません。

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そして、組合にとって品評会を実施する理由は組合員のベテランから若手へ茶の評価基準を伝承していくという面もあります。時代の変化に伴い評価基準も変わっていくのですが、徐々に変わっていくのだと思っています。寝て起きたら180℃変わっているということにはなりません。伝統とはそういうものだと思います。

整理すると組合出品茶依頼→茶商社出品→審査会→販売会→各商店→お客様という流れになります。

出品茶商社

出品する商社は前述したとおりそれぞれの熱い思いをもって茶を出してきます。専用の茶畑で栽培しているところもあると聞いています。その情熱に応えるために審査は公明正大に、審査員は茶に対するスキルが要求されます。それでは、審査はどの様に行うのでしょうか。

品評会審査の方法

審査項目は1、外観(茶葉の見た目)2、滋味(味)3、水色(抽出したおちゃの色)4、香気(抽出した茶葉の香り)になります。

このメンバーで審査しました
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品評会審査によりこの順番は変わりますし点数の配分もそれぞれ異なる部分があります。外観から始めるのが多いようですが、私たちは2、3、4、1の順に審査します。

その理由は、一番大事なのは「味」と考えているということです。

実際の審査について若干の説明をしましょう。

茶の種類は煎茶です。公正をきすため、出品茶はすべて番号を付して審査し、どこの茶商社の茶なのかはわからないようにしています。審査結果は間違いのないようにダブルチェックをしています。

審査茶碗(白磁の茶椀で200㏄)に熱湯を注いで審査をするのですが、浄水器をつけた水道水を沸かして使用します。

私たちは「70〜80℃でいれて飲んでください」と皆さんにいっているのに、なぜ熱湯を使用するのでしょうか?それは、その茶の欠点がよくわかるからです。

欠点に関する審査用語はかなりあるのですが、代表的な欠点とは滋味でいえば苦渋味が強いとか、香りでは硬葉臭やひね臭(茶が古い)、水色でいえば赤み、赤黒くなるという欠点がわかりやすくなるからです。但し、水色については茶によっては水色の後退が速いので注意が必要です。外観は茶葉が濃い緑で光沢があり、撚りが細く茎などが取り除かれているものが良品となります。

ですので、私たちはお客様には70〜80℃前後でいれて飲むと、欠点をそれほど感じずにおいしく飲めるということで推奨しているのです。渋みが緩和され、滋味を感じられることが一番大きいと考えています。

但し、人の好みは様々ですので色々な温度で試してみることをお勧めします。

ちなみに私は深蒸しタイプの茶は85〜90℃ぐらいの熱めでいれるのが好きです。朝、飲むと「うまい」と思いつつ目が覚める気がします。

滋味審査風景
写真:滋味審査風景

香気審査風景
写真:香気審査風景

外観審査風景
写真:外観審査風景

水色(すいしょく)について

近年、気になることがあります。皆さんは緑茶と言うぐらいだから水色は緑が良いと思っている方が多くなっているのかもしれません。水色はほぼ品種で決定します。緑茶で一番作られている品種は「やぶきた」です。この品種の水色は黄色、黄色がかった萌黄色です。緑色の品種は「さえみどり」「つゆひかり」などになります。ですので、緑だから良くて黄色は駄目ということでは決してありません。

その他、覆いをかけるか否か、蒸しの度合いによっても変わりますので見極めるには経験が必要です。さらにいうと、覆いをかけたお茶は茶葉の色も水色も緑がかります。また、蒸しが深くなると茶葉が細かくなり、葉緑素が溶け出し萌黄色になるのです。また、粉が浮いていますので沈むまでは緑がかるということなのです。

水色審査風景
写真:水色審査風景

東京都優良茶販売会について

順位順に拝見盆に並べて、商社名も出します。順位が上にあるからと言って高値で落札するとは限りません。より茶に対する店の個性が出るからです。私たちの売っているものは果物や野菜と同じ農業製品です。その年の出来、不出来はあります。ただし、加工をするので果物や野菜より品質の差は少なく、価格も落ち着いているといえます。滋味はもちろん品種、蒸し、火入れ(焙煎)、水色、産地を判断して組合員は入札します。ですので、店の好みを出せるのです。

今年は霜の害もなく、4月中旬から5月初旬に摘んだ一番茶は大変良い出来で、満足度が高いと思います。ペットボトルのお茶よりもおいしくコストパフォーマンスが高いと思いますので、組合加盟店で品評会入賞茶を「のぼり」「ポスター」を目印にぜひともお買い求めください。和菓子でも洋菓子でも、共にお茶を飲むのはまさに至福の時です。私の好みは、今の季節ですと、断然、栗むし羊羹です。

平成30年10月2日
文責 深谷智治

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