今回は、静岡県の川根茶についてお話ししましょう。
作られている場所は、静岡県榛原郡川根本町から島田市川根町にかけての地域。大井川上流域で南アルプス山脈の南端になり、山深い所です。皆さんには、SLが走る「大井川鉄道」が通っている地域、と言うほうが分かりやすいかもしれませんね。
当Webサイトのお勧め記事「連載:美味しいお茶を淹れる」の中に、福岡八女から高知・京都府宇治・静岡県川根・本山とベルト状に、古くからの有名産地が並んでいます。
これら産地の共通点は、古い地層、山深く、川が流れており、川霧がたち、水はけが良いことです。川のおかげで肥沃な土地になり、水はけが良く、山間部で日照時間が短く、川霧が日当たりを柔らかくして、お茶作りに適した土地と書かれています。
川根茶は、ふくよかな香りの「普通蒸し煎茶」が多く作られている事が特色です。
ここで、「普通蒸し煎茶」と「深蒸し煎茶」の違いについてご説明しておきましょう。
日本茶はお茶の葉を蒸して作るのですが、30〜40秒ぐらい蒸すのが「普通蒸し煎茶」です。
それとは違い、日照時間が長く、苦み・渋みが強いお茶になりやすい平坦地・丘陵地でも美味しいお茶が作れるよう、お茶を蒸す時間を60〜120秒にした「深蒸し煎茶」の研究が進みました。
この「深蒸し煎茶」の生産量が増えたために、通常時間で蒸したお煎茶を「普通蒸し煎茶」、60〜120秒蒸したお煎茶を「深むし煎茶」と呼び分けているのです。
川根茶の特色は、古くからの山間部の産地で作られた「普通蒸し煎茶」! これが一番シンプルな説明でしょう。
下記の写真をご覧ください。左側が、川根茶の「普通蒸し煎茶」。右側が、掛川茶の「深蒸し煎茶」で、どちらも同じグラム数、浸出時間で淹れてあります。水色(浸出されたお茶の色)が違うのがお分かりいただけるでしょうか。
このように、「普通蒸し煎茶」と「深蒸し煎茶」では美味しい水色とされる色が違い、深蒸し煎茶は「明るい緑色」、普通蒸し煎茶は「透明感のある金色」と言われています。
皆さんも、秋の夜長に、普通蒸し煎茶(川根茶・本山茶・宇治茶等)と、深蒸し茶(掛川茶・島田茶等)を飲み比べてみてはいかがでしょうか。
この写真が、普通蒸し煎茶(川根茶)。
そして、こちらの写真が、深蒸し煎茶(掛川茶)です。茶葉の細かさなどの違いをチェックしてみてください。
これまでの日本茶産地紹介記事は、こちらから。