2023年11月24日~26日に東京・渋谷ヒカリエで開催された茶業界のビッグイベント「TOKYO TEA PARTY 2023」を取材しました。「TOKYO TEA PARTY」ってなに?という方にもご理解いただけるよう、わかりやすくお伝えします。
「TOKYO TEA PARTY」とは?
メインは「日本茶AWARD」の審査結果の発表と表彰、そして各賞受賞茶の試飲や販売です。それに伴い、トークショーやワークショップ、座談会、談話会など、日本茶に関するさまざまな企画が3日間にわたり行われます。今年でなんと10年目。コロナ禍を越えて長きにわたるエポックメーキングな催しなのです。
「日本茶AWARD」とは?
新たな時代に適応した価値ある日本茶を発掘し、その魅力を世界に発信することを目的としたコンテストです。まず、全国から選りすぐりのお茶がエントリーされます。煎茶だけではなく「烏龍茶部門」「ほうじ茶部門」「ティーバッグ部門」など、13の部門があります。今年から「飲料茶部門」(ドリンク)も加わりました。
今回の出品茶は538点。専門審査員による一次、二次審査が行われ、「プラチナ賞」「ファインプロダクト賞」「審査員奨励賞」が選定されます。さらに全国各地で消費者による三次審査が行われ、「プラチナ賞」20点の中から栄誉ある「日本茶大賞」が決定します。その審査結果がこの「TOKYO TEA PARTY 2023」で発表されるというわけです。そのため、ポスターやチラシには二つのイベントが併記されています。
文化・流行の発信地に集う日本茶ファン
私は、11月25日に取材にうかがいました。渋谷ヒカリエの中でも特にスタイリッシュなスペース8/(ハチ)が会場です。入場すると、人人人ですごい熱気とにぎわいです。会場をまともに歩けないほどです。また、ファッショナブルな方の多いこと! スタッフにうかがうと、こんなに盛況なのは今回が初めてということです。
外国の方もいらしていて、日本茶が世界的に注目されていることを感じました。受賞茶の販売コーナーでは、プラチナ賞のお茶、10種のアソートはすべて売り切れでした。
消費者とマッチングできる貴重な場
「日本茶AWARD」の最高賞「日本茶大賞」を2021年、今回2023年と二度受賞された株式会社 特香園(鹿児島県)代表取締役社長の桒畑政茂さんにお話をうかがいました。
――今回の受賞茶「雪ふか極1号」についてお聞かせください。
「合組部門ということで、さえみどりを主体に5つの品種をブレンドして作りました。2021年の受賞茶とはブレンド率など少し流れが変わっています。「日本茶AWARD」は消費者が選ぶコンテストですので、茶問屋である自分たちがおいしいと思うお茶がどれだけ消費者にマッチングするかを検証する貴重な場だと思っています」
――この受賞を今後にどう生かしますか?
「これからの日本茶を背負う立場にあることを認識しています。消費者の嗜好が日々変化していく中、「日本茶AWARD」を通して生産家さんたちを含めた自分たちの方向性をさらに練磨していきます。そして、鹿児島県の茶業、さらには全世界に広がる日本茶の指針となるようなお茶づくりをしていきたいと思います」
どうやって審査しているの?
ジャンルの違うお茶を比較、審査することは難しいのではと思い、主催者のNPO法人日本茶インストラクター協会専務理事の奥村静二さんに審査の様子をうかがいました。
「消費者の皆さんが、販売店に行ってお茶を買うように審査していただいています。一般消費者が選びますので、われわれプロの品評会のような減点方式ではなく、好きな段階を記して最終的に一番の推しを決めるというシンプルな審査方法をとっています」
写真のような審査用紙で行っているということです。なるほど、好みがダイレクトに反映される審査方法で、とてもわかりやすいですね。
作り手の顔が見えるお茶
私は、20点の「プラチナ賞」受賞茶のうち10点を味わえるテイスティングイベントに参加しました。スタッフおすすめのお茶まんじゅうもついています。
さすがあまたある出品茶のなかから選ばれただけあって、それぞれ華やかで個性的なお茶でした。茶種が多岐にわたり、それぞれのテイストの違いが一般の方でもはっきりと認知できます。所々でいれ方のデモンストレーションや作り手の解説もあり、とても贅沢な時間でした。
日本茶の未来がここに
「おいしい日本茶に、出会おう。」というシンプルで力強いキャッチコピーのごとく、たくさんの個性あふれるお茶に巡り合うことができました。お茶離れが進み、茶業に携わる身として先行き不安になる今、このような活気あるイベントに参加すると胸が躍ります。
「消費者に求められるお茶を作ろう」という思いあふれる茶業従事者の方たちと、日本茶をこよなく愛する方たちが集い、イノベーションが生まれる「TOKYO TEA PARTY」。課題も多い茶業界ですが、この熱量を目の当たりにし、日本茶の未来は明るいと感じました。
毎年11月に開催されますので、ぜひみなさんも足を運んでみてください。