東京のお茶屋の多くは、「お海苔」を販売していますが、どうしてなのかご存じですか?
昭和20〜30年代は包装資材が現代ほど発達しておらず、湿気・移り香を嫌う「お茶」を取り扱うの上手なお茶屋または乾物屋が「お海苔」も販売していたのが、その理由なのです。
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海苔の一大産地「東京」
話は変わり、東京はかつて海苔の大きな産地でもありました。
海苔に適した生育環境とは、「適度な潮の干満」、「遠浅で波静かな海面」、「栄養分を多量に含んだ河口の汽水域」だと言われています。
隅田川・江戸川・多摩川が流入している東京の海は、この条件に合致した、海苔の生育には最高の場所です。
江戸時代には、大森・品川地区を中心に、「ビビ」と呼ばれる木を浅瀬に建て、海中に浮かんでいる海苔の胞子を付着させ、養殖がおこなわれていました。
成長した海苔を摘み、貝殻・小エビなどを取り除いて細かく刻み、「海苔すのこ」にうつし上げ、乾燥させて、製品にしていたのです。
江戸時代後期になると、現在の江戸川区・千葉県浦安市・君津市・富津市等の東京湾沿いから、東北の仙台周辺、静岡県浜松市、愛知県豊橋市、和歌山県和歌山市、広島県にまで、海苔養殖の範囲が広がっていきました。
そして現代では、宮城県、千葉県、神奈川県、愛知県、瀬戸内海沿岸、有明海沿岸と、全国に広がっているのです。
乾海苔(ほしのり)のこと
乾海苔(ほしのり)という言葉をご存知ですか? 海苔養殖の技術は発展しましたが、生産者から卸売り業者、仕入れる私たちお茶屋までは、海苔は基本的に焼かれておりません。
焼いていない海苔、つまり「乾海苔(ほしのり)」で製品の善し悪しを判断しています(焼き海苔で仕入れる場合もあります)。
海苔の栄養成分
海苔には、どのような栄養成分が含まれているのでしょうか?
まずは、良質なたんぱく質。海苔100gあたりに、40gのたんぱく質が含まれています。
海苔10枚で重さは約35gですので、タンパク質は14g含まれている計算になります(海苔は10枚で1帖と呼び、「1帖」は海苔の基本単位です)。
もちろん海苔だけでは、必要な量のタンパク質を摂取するのは難しいでしょうが、覚えていると便利ですね。
また、海苔には、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛などのミネラルも含まれていますので、毎日食べるとミネラル不足解消の手助けになるでしょう。
そして、EPA(エイコサペンタエン酸)は悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やし、血液をサラサラにし、脳卒中、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞などの発症を防ぐ効果があるとされていますが、海苔にも含まれています。
海苔は一日にそんなに多くの量を食べるものではありませんが、体に良いとされる栄養成分が沢山含まれていますので、ぜひ毎日食べる習慣をつけていただきたいものです。
海苔の保存方法
海苔を保存するのは、ちょっと苦手でしょうか?
通常の海苔の水分含量は、3〜4%です。やわらかさを感じられる海苔は7〜8%、湿り気が感じられると9%以上になります。
水分含量3〜4%の海苔は、味と香りが良く、栄養成分も豊富な状態です。
湿気らさないように、きちんと蓋ができる容器に入れておきましょう。使う都度に必要な枚数を容器からだし、使い切る事が大切です。
「乾燥剤」をチェックしてみよう!
海苔をお買いになると、袋の中に「乾燥剤」が入っています。
これを振ると「カサカサ」音がしますか? その場合は、乾燥剤が働いています。
袋が膨らんで音がしない場合は、乾燥剤が働いていませんので、交換する時期です。薬局などで販売していますので、お買い求めください。
おわりに
当サイトで扱う海苔の記事は、2回目です。
海苔の記事第3弾を書くときには、海苔の歴史、見分け方などを、わかりやすく説明します。その為に海苔の勉強を、もう少ししておきますね。
海苔をもっと知りたい、東京の海苔の歴史を調べたい!とお考えの方に、おすすめは、大森ふるさとの浜辺公園内にある「大森海苔のふるさと館」です。
人口の浜辺もあり綺麗な公園の中にあり、楽しく展示、体験学習ができますので、今度のおやすみに、ぜひ訪問してみてはいかがでしょうか?