今日は、日本茶を淹れるのに欠かせない道具「急須」の手入れについて、お話しいたしましょう。
昨日まで美味しかったはずのお茶が、今朝は味が落ちた? 皆さんは、こんな経験がありませんか?
そんな時は「急須の汚れ」、特に「茶こしの汚れ」が原因かもしれませんよ。
急須は、お茶を淹れる時に必要な茶道具のひとつで、ろくろを廻して作る「手作り」と、型から作る急須の2種類があります。
主な産地は、朱泥で有名な愛知県常滑市の「常滑焼き」や、三重県四日市の「万古焼き」など。この写真は万古焼きです。
では、「茶こし」のことをお話ししていきましょう。
右側は1970年ごろ制作された急須の「陶製茶こし」、左側は2015年製の同じく「陶製茶こし」です。陶製茶こし付きの急須は、細目(ささめ)急須などと呼ばれています。
さて、茶こしの目の大きさが違うのにお気づきかもしれませんが、これはなぜだかお分かりになりますか? それには、「深蒸し茶」の普及が関係しています。
ご存知のとおり深蒸し茶は、味は濃くでますが、粉が多いのが欠点です。編み目が細かくなったのはその対策なのです。
さらに、深蒸し茶に合わせてつくられたのが、「金網茶こし急須」です。網の形により、「帯アミ」、「平アミ」、「ブランコ網」等の種類があります。
茶こしの種類について分かったところで、ここからが「急須」のお手入れの話。
最も大切なことは、「茶こし」を清潔にしておく事です。
朝、最初にお使いになる前に、「陶製茶こし」、「金網茶こし」を問わず、熱湯を注いで1〜2分置いておきましょう。
これには、急須を清潔に保つのと、かすかに残っている前日の茶殻と茶の香りを取る効果があります。
急須を一日使ったら、よく洗い、逆さにして水分が残らないようにしてください。
お使いになる頻度によりますが、たまに茶こしを乾燥させるのが良いでしょう。天日干し、または、食洗機で乾燥させても良いですね。茶こしについた茶渋がとりやすくなります。
乾燥させたら、ブラシを使って「茶こし掃除」です。
ブラシは急須の大きさに合い、あまり固くないものが良いでしょう。
ここで大切な注意点があります!
「陶製茶こし」は繊細に作られていますので、ブラシで強くこすらない! 爪楊枝などで茶こしの細かい穴をつつかない! 丁寧な作業が肝心です。
しつこい茶渋は、「食器用漂白剤」や「茶渋とり専用洗剤」がありますので、お試しください。
さて、金網茶こしは、換えアミが販売されているのをご存じですか? 茶こしを外せない構造の急須もありますので、ご不明な点は「組合公認店」でお尋ねください。
カップ網がついている急須も、よく見かけますね。茶殻が簡単に捨てられるので便利なものです。このカップ網も換えのものが販売されています。
「陶製茶こし」と「金網茶こし」を併用すると、淹れた茶の味が薄くなります。利便性をとるか、茶の味わいをとるか、よくお考えになってお使いください。
急須は、長く使いますと「艶」が出て、使えば使うほど「味」が出てきます。ぜひ急須を大切にお使いください。
私たち組合公認店もお手伝いをいたしますので、お分かりにならないことは、プロにお気軽にお尋ねくださいね。