2014年10月17日

お茶屋は、どのように「仕入れ」をしているのか?

八百屋さんや魚屋さんは朝早く起き、築地市場や太田市場などに商品を仕入れに行く、というのは有名なことですね。

では、お茶屋さんも早起きして、市場へ出かけるのでしょうか?

答えは「NO」。

静岡、京都、鹿児島などにはお茶市場がありますが、ここで行われるのは、加工前の「荒茶」の取り引き。私たちのように「仕上げ茶」を販売するお茶屋には、あまり縁がありません。

実は商店街のお茶屋さんは、都内や産地の問屋さんから仕入れています。

お茶屋さんに買い物に行った時、大きなバックを持った人を見かけた事はありませんか? それは、バックの中に見本をいれた問屋さんだったかもしれません。以前は「見本缶」だったのが、最近はアルミ袋に入ったお茶見本が多くなりました。

写真:茶葉の見本

では、お茶屋さんは、問屋さんからどのようにお茶を仕入れるのでしょうか?

仮に100g1000円で売る「深むし煎茶」を仕入れるとしましょう。問屋さんが2種類の見本のお茶を持ってきました。

まずお茶屋さんは、「拝見盆(はいけんぼん)」と呼ばれる黒いお皿の上に、見本のお茶を出します。本来は、茶葉の状態を自然光でみるのが良いのですが、店内で見る事も多いようです。

写真:拝見盆に乗った茶葉

葉っぱの色艶を観察し、茎や粉が多く入っていないかをチェックします。また、香りを嗅いで、美味しいお茶かを判断します。

次に、「拝見茶碗(はいけんぢゃわん)」と呼ばれる白くて大きい茶碗をふたつ用意して、茶葉をを3gづつ、そのまま投入します。

写真;拝見茶碗に茶葉を投入

そして、沸騰したお湯を、ひとつ目の茶碗の八分目ぐらいまで入れます。次にふたつ目の茶碗には、お湯をふちギリギリまで入れます。最後に、ひとつ目の茶碗に戻り、ふちギリギリまでお湯を入れます。こうすると、ふたつのお茶の濃度が同じになるのです。

網サジという道具を使い、お湯の中の葉を集め、香りを調べます。新鮮な香りや香ばしい香りがあるのか?嫌な香りは無いか?をチェックします。

一分半ぐらい経ったら、葉を茶碗から上げます。網サジで上げるのが意外と難しく、綺麗に素早く上げられると、「オマエも一人前になったな」と言われます。

この後、「水色(すいしょく)」と呼ばれる淹れたお茶の色を確認します。一般に、深むし煎茶は「明るい緑色の水色」が良いとされています。黒みや赤みが無いかどうか、入念に確認します。

写真:水色を確認

そして、スプーンと小さい茶碗を手に持ち、静かにゆっくりお茶を飲んでみます。「ズズっ」と音を立てて空気と一緒に飲む方もいますが、筆者の場合はゆっくり飲んだほうが分かりやすく感じます。

甘みや程よい苦味があるか、味が薄くないか、嫌な味を感じないかを、調べます。

2種類の深むし煎茶を、見た目および実際に飲んで「自分が美味しい」と感じるかどうかで厳しく吟味し、良い方を仕入れることになります。

私たち「東京都茶協同組合」の組合員は、このようにして「自分たちが美味しい」と感じたお茶を仕入れ、自信を持って皆さまにお勧めしております。

ぜひお近くの組合公認店にご来店のうえ、自慢のお茶をお試しください。ひょっとしたら、仕入れをしている場面に出会うかもしれません。

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