2013年5月24日

陶製急須のトリビアあれこれ

お茶を美味しく飲むために必要な道具を一つ挙げるとすれば、急須でしょうか。

陶製、鉄製、アルミ製などの急須がありますが、今回は陶製の急須について、あれこれ小咄をいたしましょう。

注ぎ口の向きについて

注ぎ口を前にすると、ヨーロッパのティーポットや中国急須は、後ろから持つ後ろ手が一般的ですが、日本の急須は横手です。もともと急須は中国から伝わった物ですが、そのとき同時に、湯沸かしに使用していた横手の湯瓶も伝来しました。

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理由はよく分かりませんが、なぜか日本ではその湯瓶を使ってお茶を入れる事が広がり、横手の急須が一般的になったと言われています。

急須の金属網のお手入れ

昨今では、葉をよく蒸す「深蒸茶(ふかむしちゃ)」の人気が出てきましたが、これには細かい粉があり、急須が詰まる事があります。

これを防ぐために、陶製の網にかわり金属網を茶コシ口に付けた急須があります。便利ですが金気を気になさる方も多いと思いますので、金気を少なくする方法をひとつご紹介しましょう。朝一番最初に急須を使うまえに、急須に熱湯をさしてしばらく置いておくと、金気が少なくなります。

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金属網についた細かい粉を取り除くには、一日天日干しを行い、柔らかいブラシで網をこすってみましょう。細かい粉を取り除く事ができます。

急須をお買いになると、注ぎ口にビニールがついていると思います。このビニールはあくまでも輸送中に注ぎ口に傷がつく事を防ぐための物ですので、使うまえに外してください。

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急須の産地とお茶の産地の地理的関係

陶製の急須の産地は、益子焼(栃木県)、常滑焼(愛知県)、多治見焼(愛知県)、萬古焼(三重県四日市市)、信楽焼(滋賀県)、有田焼(佐賀県)等があります。

ここで、地理的に面白い事に気がつきます。

常滑は、抹茶で有名な西尾市が近くにあります。信楽と四日市は、急須だけではなくお茶の産地としても有名です。有田の近くには、嬉野八女なとのお茶産地があります。

これは、どういうことでしょう? 美味しいお茶ができると、良質な急須や湯呑でお茶が飲みたくなるので、近くに陶器の産地が出来るのでしょうか? もしくは、急須や湯呑を作ると、作った器で美味しいお茶を飲みたくなるから、近くにお茶畑が出来る……?

いえいえ、古来よりお茶碗やお皿、飲料水を溜める瓶など、陶器は日本人に必要な道具でした。お茶も同様に生活に欠かせない飲料でした。ということで、日本各地に、お茶産地や陶器産地があるので、偶然近くにあるのではないかと、筆者は考えています。

萬古焼(ばんこやき)の名前の由来

さて、上で挙げたように、急須が有名な産地は幾つかありますが、写真をご用意したのは常滑焼と萬古焼です。

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常滑焼の名前は地名からきていますが、萬古焼の名前の由来は違います。

萬古焼は、1700年代後半に三重県桑名の豪商沼波さんが作り始め、出来た作品に「萬古(ばんこ)」あるいは「萬古不易(ばんこふえき)」と印を押したのが始まりでした。

最後に

新たに急須を購入する時は、必ずお手に取り、ご自身の手に合うかどうか調べる事が重要です。毎日熱いお湯を入れて使うのですから…

しかし見た目がとても気に入り、手に馴染まないけど使いたい!ということもあるかもしれませんね。もちろんルックス重視で急須を選ぶのも、悪くありません。

いずれにしても、急須で美味しくお茶を入れるには、急須の中でお茶の葉がお湯に充分に広がる時間が必要です。

お気に入りの急須を使えば、この時間をゆったりとリラックスしたひとときに演出できることでしょう。

毎日の暮らしの中で、急須でお茶を美味しく淹れて飲む「句読点な時間」を、ぜひお楽しみください。

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