2013年8月2日

世界農業遺産に認定された静岡県の「茶草場(ちゃぐさば)」

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夏休みに入り、海や山にお出かけになられる方も多いと思います。世界文化遺産に認定された富士山に登るのが人気を集めているとか。

皆さんは、もうひとつ世界遺産に認定された事柄をご存知ですか。静岡県の「茶草場(ちゃぐさば)」です。2013年に世界農業遺産に認定されました。

【関連リンク】
世界農業遺産 静岡の茶草場(しずおかのちゃぐさば)

世界農業遺産とは、様々な自然や生き物と共生する伝統農法、お祭りなどの人々の営みを含めて認定されます。世界では25地域が認定されており、日本ではこれまで、トキと共生する佐渡の「里山能登の棚田揚げ浜式製塩」が認定されています。

【関連リンク】
能登の里山里海が世界農業遺産(GIAHS)に認定|イベント情報|すず観光ナビネット

今回認定された静岡県の「茶草場」とは、かつては日本中の茶畑で行われていた農法です。

茶畑周辺にある草木を刈り、乾してお茶の木の根元に敷き、土やお茶の木の乾燥を防ぐうえ、有機肥料にもなります。お茶農家の皆さんは、お茶の香りと味が良くなると考えています。

現在は静岡県と鹿児島県で行われていますが、今回は静岡県の掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の茶草場が認定されました。

茶草場にはもうひとつ、「貴重な動植物を守る」という重要な働きがあります。

皆さんがご存じの「秋の七草(萩、ススキ、葛、河原撫子、女郎花、藤袴、桔梗)」ですが、草地が減った現在「河原撫子、女郎花、藤袴、桔梗」の4種が、野生では絶滅の心配があります。

そして、秋の七草ではありませんが、初夏にピンク色の花を咲かせる「笹百合」も絶滅が心配されています。

これらの草花は、実は茶草場ではよく見かけられます。

さらに掛川市の茶草場では、羽の無いバッタ(カケガワフキバッタ)という固有種も見つかりました。

人の手が入らない山奥で貴重な動植物が見つかるなら分かりますが、秋には草を刈ってしまう人里近くの茶草場で、どうして貴重な動植物が見つかるのでしょうか?

仮に、東京の都心に空き地があるとしましょう。

人の手がかからない空き地は、夏の時期はあっという間に草が覆い尽くします。それも生存競争の強い植物だけの草地になります。

それとは違い、茶草場には適度に人の手が入ります。

程よく草を刈る事により大きな草が刈られ、地面近くの小さな草花にも光が届くのです。

大きな草花から小さな草花まで多種多様な植物が咲き、蜜を求めて昆虫が集まり、昆虫を捕食する蛙や鳥が来て、蛙目当ての蛇までも……。

このように、茶草場には多種多様な生き物が集まってくるのです。

生き物が集まるだけでなく、私たちにも美味しいお茶をプレゼントしてくれる素晴らしい場所、茶草場。夏休みにお出かけしてみてはいかがでしょうか。

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