皆さんは、「荒茶」という言葉を聞いたことがありますか。
荒茶とは、茶農家が茶葉を摘んですぐに蒸し、揉んで、乾燥させるという工程を経た茶のことです。これを茶問屋が購入し、様々な工程を経て「仕上げ茶」にしています。
【荒茶】茎が目立ち、茶盆の周りに毛葉があるのがわかります
【仕上げ茶】深い緑色になり雑駁感がなくなります
私たち小売店のすること
私たち小売店の多くは、仕上げ茶を仕入れて、合組(ごうぐみ)をしたりして、自分たちが目指すお茶を作り、販売しています。セレクターでありブレンダーといえますが、どの様に仕上げ茶にしているのかは頭ではわかっているものの、過程を直接に経験した人は意外と少ないのです。
産地の茶問屋に行く
今回の記事は、「荒茶」から「仕上げ茶」にいたる工程を手作業でやる、という企画でお送りします。
これは産地の茶問屋の工場に行かなくてはできません。そこで藤枝市茶町の茶問屋に、組合員男性13名と女性1名で訪問しました。
訪問したメンバー
茶工場風景
篩と箕が主役
さて、荒茶をどういう工程で仕上げ茶にするのでしょうか?
使用する道具は、篩(ふるい)と箕(み)です。篩には網の大きさの違いがあり、一寸のなかにどれだけの網目があるかで規格が決まります。例えば「9号」は一寸のなかに網目が9個あり、30号ならば30個の網があります。つまり、番号が大きいほど、網の目が細かくなるわけです。
篩に番号が振ってあるのがわかります
篩分けでは、大きく2つに分けられると考えてください。形のある茶葉とそれ以外(細粉、芽粉、篭下)に分けます。これを何度か繰り返します。
次に、機械では三段と呼ばれるものを使い、分けていきます。
これも篩の目の大きさを調整しながら篩を動かし、仕分けしていきます。三段での工程で、細粉、芽粉、篭下の3つに分けます。ただし、各茶問屋で多少の違いはあるようです。
上の写真にある拝見盆の左側は茎と形のある茶葉が多く残ります。右には細い茶葉や細かい茶葉になります。左側の拝見盆にある茶葉は篩を使って切断をします。
切断風景 工場長のお手本
切断風景 組合員の練習
切断は指の腹と手の平全体で、篩に茶葉を押し込むようにします。
篩で目の大きさや角度を調節して、上に残った茶葉の形を直します。こうして下に落ちた茶葉を主に3つに分けるという作業をします。
下の写真が篩分けをする機械です。お茶箱が3つあるのがわかると思いますが、ここに仕分けした茶葉が入るというわけです。
箕の使い方
次は箕です。箕は何のために使うのでしょうか。
篩を使って何度か切断した茶葉を、箕を使って軽い茶葉(柳や軽い粉)を飛ばすのです。
これは篩よりかなり難しく、なかなかうまくいきません。軽い茶葉を飛ばさずに重い茶葉を飛ばしてしまったりします。
箕の使い方を練習しました。箕の角度と手の位置が重要です。
箕の中のお茶を回しながら軽い茶葉だけを飛ばしていくには長年の経験が必要です。なぜ軽い茶葉を飛ばすのかというと、あまり品質の良くない部分だからです。
では、なぜ、このように荒茶を数種類に分ける必要があるのでしょうか? それは次回の記事で説明させていただきます。お楽しみに!
今回訪問した藤枝の名前の由来
【2020年8月23日】記事の第二弾が出ました!
→ 荒茶と仕上げ茶について深く知る(その2)