2019年の幕開け、インフルエンザや風邪が流行しています。今週は、静岡県立大学薬学部教授・健康支援センター長の山田浩先生に、「最新のお茶の効能とインフルエンザ予防」について記事を寄せていただきました。
最新のお茶の効能とインフルエンザ予防
静岡県立大学薬学部教授・健康支援センター長 山田 浩
お茶の効能は、緑茶の主要成分であるカテキンを中心とした最近の科学研究により、抗酸化作用を始め、抗菌・抗ウイルス、抗動脈硬化・生活習慣病、抗アレルギー、抗がん、抗認知機能低下といった様々作用が明らかにされています(図1)。
インフルエンザ予防に関しても、カテキンがインフルエンザウイルスの宿主細胞への吸着を阻止したり、細胞内での増殖、さらには細胞外への放出・感染拡大を阻止することが細胞レベルの基礎的な研究で確かめられています。ヒトにおいても、私たち研究グループが行った、老人ホーム入居者を対象とした研究において、茶カテキンのうがいによるインフルエンザ予防効果が示されています(J Altern Complement Med, 12:669-672, 2006、図2)
お茶にはカテキン以外にも、テアニン、ビタミンCといった感染に対する免疫力を高める成分も含まれていますので、緑茶の摂取によるインフルエンザ予防効果も十分期待されます。私たちは、静岡県茶産地の菊川市全小学校児童2663名に対して、冬季インフルエンザシーズンにおけるインフルエンザ罹患状況と予防対策についてのアンケート調査を行いました。その結果、1日1~5杯の適度の緑茶飲用習慣が、小学校児童のインフルエンザ予防に役立つ可能性が示されました(J Nutr. 141:1862-1870. 2011図3)。
お茶は日常的な飲料で、安価、安全ですので、インフルエンザ予防の補助手段の1つとして薦められると考えます。
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