2013年11月15日

後熟(こうじゅく)によって美味しくなるお茶「蔵出し茶」のお話

その昔、駿府城(静岡県)に隠居した徳川家康は、深い味わいのお茶を好みました。

当時、春に摘んだ新茶は茶壺に入れて密封し、山間地で気温の低い大井川上流や井川大日峠のお茶蔵に保存して、夏の暑さをしのぎました。

冷え込みが増し空気の乾いた陰暦の彼岸の頃(11月頃)に蔵を開け、山から降ろしてお城に運んできたそうです。

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そのお城に降ろしてくる行事が「お茶壺道中」で、最初に殿様がお茶壺の「封切り」「口切り」をしました。そんなことから、秋になって初めて飲むその年のお茶を、「封切り茶」「蔵出し茶」というのです。

では、なぜ昔の人はわざわざ貯蔵して秋に飲んだのか。それはもちろん秋に飲んだ方が美味しいと思ったからです。

これは好みによって違います。しかし、低温貯蔵されて風味の増したお茶は、新茶特有の青臭みが抜けて、まろやかなコクのある風味豊かなお茶となったのです。

ワインやウイスキ-の何年物というのと同じことで、涼しい場所で保管することで乾燥させたお茶でもゆるやかに熟成して、まろやかな味になるからです。

茶業界では、このことを後熟と呼びます。

さて茶席では、11月の初旬・立秋の頃になると、春から半年間使っていた風呂をしまい、道具組を改め炉を開きます。

この開炉の頃に「口切り」の茶事を行います。

「口切り」の茶事はその年に採れた新茶の使い始めであり、「茶の正月」とも呼ばれて、茶の湯の世界では最も正式な茶事とされ、茶室の畳や障子を張り替えたり竹垣を青竹に替えたりして、新たな気分で迎えます。

茶壺の封を切り、その年の新茶(抹茶)を開封した最初の一服となる口切りの茶事は、茶人にとって特別の思いが込められた味わい深いお茶となるのです。

最近では技術が進歩し、低温倉庫で保管・熟成に最適な温度と湿度で徹底管理しておりますので、じっくり風味を深めることができるのです。

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美味しい新茶がさらに深くまろやかになり、いっそう美味しくなった「蔵出し茶」をぜひお楽しみください。

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