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まず一番大切なことは「飲む人がおいしいと思えるお茶を淹れること」
たとえどんなにおいしくはいったとしても飲む人がおいしいと思わなければ、そのお茶は「おいしいお茶がはいった」とは言わないのです。
私たちが毎朝、同じお茶を同じように淹れて飲んでもおいしく思う日と、同じお茶とは思えないほどおいしくなく感じたりする日があります。季節によって、また体調によって朝、昼、晩によっても違ってきます。まして人様においしく飲んでもらうにはそれなりの心づくしが必要になります。まずは「おいしく飲んでもらいたい」という思いが一番大切なこととなります。
飲む人に合わせてお茶を淹れるというと皆様は石田三成の「三献茶」という逸話を思い浮かべられることと思います。この逸話の真偽のほどは明らかではありませんが、滋賀県・長浜駅前には、この三献茶に因んだ三成と秀吉の像もあります。「砕玉話(武将感状記)」等に記された話で、概要はこんな具合です。
「長浜城主となった秀吉は、ある日、領内で鷹狩をしていた。
その帰途、喉の乾きを覚えて、ある寺に立ち寄って茶を所望した。対応した寺の小姓は、まず最初に大ぶりの茶碗にぬるめの茶を一杯に入れて出した。喉の乾いていた秀吉は、それを一気に飲み干したあと、もう一杯たのんだ。次に小姓は、やや小さめの碗に、やや熱めにした茶をだした。秀吉が試みにもう一杯所望したところ、今度は小ぶりの碗に熱く点てた茶を出した。相手の様子を見て、その欲するものを出す、この心働きに感じいった秀吉は、その小姓を城に連れて帰り家来とした。この小姓が、その後累進し、五奉行の一人、石田三成となった。」
という逸話ですが、お茶は言葉なしで心遣いやその人となりを表します。
日本の伝統である茶道の真髄が「おもてなし」であることは主人が招客に対してどれだけ準備から応対、見送る最後まで心を尽くすかを見てもよくお分かりになることと思います。この「おもてなし」は世界に類を見ない作法だと思います。
私たちの生活の中に振り返ってみてもう一度お茶を通して「おもてなし」の心を呼び戻してみませんか。きっといつでもおいしいお茶が入ることと思います。
来週から毎週金曜日に、
と進めてまいりたいと思います。