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茶文化を伝える~日本茶インストラクター制度への関わりなど

おいしいお茶を飲んでいますか?
おいしいお茶を淹れていますか?

技術革新や流通・販売体制の変化に伴って、日本人の食生活は大きく様変わりしました。日本茶も同様です。茶葉を使って急須で淹れる煎茶に関して、親しみと関心が徐々に薄らいでいるのかもしれません。

このような状況に危機感を持ち、日本茶の良さを伝える人材を育てなければと考えた者が、私たち組合の中にいます。そして、彼らが動いた結果が「日本茶インストラクター制度」設立に結びつきました。設立までの経緯と彼らの奮闘ぶりをご紹介します。

日本茶インストラクター制度を創ろう!

思い

急須イメージ

お茶のことを一般の方に広く知っていただき、親しみを持って召し上がっていただくためにはどうしたらいいか、日本茶専門店の活性化を図るためには・・何か動かなければ・・。

缶ドリンクの普及や中国茶ブームなどで、このままでは日本茶、特に茶葉の需要が頭打ちになってしまう。日本茶専門店は滅びてしまう、日本茶のプロがいなくなってしまうのでは・・。

こんな思いと強い危機感を持った東京茶業青年団のメンバーが動き出したのです。

全国茶業青年団・東京茶業青年団

日本茶インストラクター制度設立の経緯には、全国茶業青年団・東京茶業青年団が大きく関わっています。

全国茶業青年団とは、主に、東京・静岡・京都・鹿児島などの茶問屋や小売店の若手店主が集まる全国組織です。全国茶業青年団の下部組織に、各都道府県ごとの東京茶業青年団、静岡茶業青年団などがあります。

私たち組合の組合員も、若いときは東京茶業青年団の団員で、定年を過ぎるとOBになります。

きっかけ

東京茶業青年団では、東京の茶商と生産地の人との交流と勉強を目的とした「一期一会の会」を催していました。

当初はもっぱら懇親を深めるための飲み会を重ねていたのですが、同じ思いを持った茶商同士が話し合いを重ねるうちに、『お茶のソムリエ』のような制度が作れないかと考え始めたのです。

「考えるより動くのが先」の2人

どんな制度・事業でも行動派リーダーがいます。日本茶インストラクター制度設立の陰にも、2人のタフな青年がいました。元・東京茶業青年団長の今井久雄氏と繁田和則氏です。

何をどうすればいいのか分からないながらも、彼らはとにかく動き出しました。

1995年(平成7年)、静岡県の元・全国茶業青年団長 小島康平氏にリーダー役を引き受けてもらい、日本茶インストラクター制度を設立するための準備会をスタートさせたのです。

1996年には、東京都茶業組合の組合員の中で紅茶インストラクターの資格を持っていた高宇政光氏や、実務肌の君野信太郎氏にも呼びかけ、制度設立に必要なカリキュラムや試験制度の原案づくりを始めたのです。

悪戦苦闘の2年間

日本茶インストラクター講座教科書の写真

準備会では、まずボランティアの賛同者を集め制度設立の準備をし、制度の目処が立ったら、茶業関係団体の最上部団体「日本茶業中央会」へ組織化を働きかけようと考えました。

そのためには、まず資格認定のカリキュラムを創ること、資格を取るための講習会を開催しなければいけません。日本茶の歴史、日本茶の栽培、製造、種類、鑑定技術、講習会の開き方、実技、ティーパーティの開き方、お茶料理、お茶の淹れ方、淹れる道具、水についてなど、日本茶に関する様々なことを教える先生のためのカリキュラムですから、そう簡単にできるはずはありません。

結局、準備活動は2年間に及んだのです。

このときの悪戦苦闘ぶりは、高宇政光氏の著書「僕は日本茶のソムリエ―お茶で世界をつなぐ夢」に詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください。

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正式発足

あまりに長い準備期間ゆえ空中分解しかかった時もありましたが、杉本充俊氏の粘りに支えられ、1999年(平成11年)、日本茶業中央会が主催する「日本茶インストラクター制度」が正式に発足しました。

2000年には、「日本茶インストラクター協会」が発足し、その後も順調に発展を続け、2002年にはNPO・特定非営利活動法人として活動をしています。

日本茶インストラクター試験の様子

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日本茶インストラクター試験の様子写真

会場は、受験者達の熱気で一杯です。

関連リンク

日本茶のプロ

日本茶のプロを育て、日本茶文化を積極的に伝える努力をしようと考えた青年たちの思いが形になって、2004年には日本茶インストラクターが累計1,500名、日本茶アドバイザーが累計1,700名となり、今後も多くの資格者の活躍が期待されます。

お茶屋の技量と役割

日本茶インストラクター第1期生は茶業関係者だけでしたが、2期・3期と進むにつれ、茶業関係者よりも主婦や一般消費者などが多くなってきました。

喜ばしいことではありますが、反面、これからは茶業を営む私たちのプロとしての技量と役割が問われる時代になると感じており、組合員一同が一層の努力をしていこうと思っています。